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◆金井大道具

金井大道具 社長 金井勇一郎さん

金井勇一郎さん

「基本を押さえず型を破れば単なる“形無し”。目指すのは“型破り”な舞台」

 通常の舞台には“空間”がありますが、歌舞伎の舞台は日本画同様、極彩色で空間を埋めていくのが特徴です。手法は大工さんが木や紙で土台を作り、上から泥絵の具で色をつけていく昔ながらのもの。歌舞伎は演目も多いため、回り舞台の裏側は戦争のような慌ただしさです。どんなに華やかな舞台道具に囲まれても、しっかりと存在感をかもし出すのを目の当たりにする度に、役者の芝居の力はすごい、と感じますね。
 スーパー歌舞伎のように新たな挑戦をするときも、伝統的な古典歌舞伎の基本を忘れることはありません。基本を押さえた上で、新しいことをやるのが「型破り」。基本を押さえず型を破れば単なる「形無し」ですから。
 アイデアも見た目も、基本を忠実に押さえながら、人がやっていない舞台を作りたい。そして伝統文化の未来を受け継ぐ、次世代の舞台技術者を育成していきたい。そのためにも、多くの方々に歌舞伎の魅力をぜひ味わってみていただけたら嬉しいですね。

歌舞伎を楽しむアドバイス

  • 歌舞伎の歴史や蘊蓄を気にしすぎると難しく思えてしまうので、まずは気楽な気持ちで生の舞台の雰囲気を楽しんでみるのがお勧めです。一度観てみると、役者に目を奪われたり、背景や小道具に目が行ったりと、自分が面白いと思える何かが見つかると思います。
 
  • プロフィール

    '60年東京生まれ。'06年に父・俊一郎氏の跡を継ぎ社長に就任。
    歌舞伎と現代劇を股にかけ活躍する舞台美術家として同年『NINAGAWA 十二夜』で読売演劇大賞最優秀スタッフ賞を受賞。08年は『憑神』で伊藤熹朔賞を受賞。
    仕事の後の癒やしは、大好きなお酒を少々。
  • 金井勇一郎さん
 
企業紹介
  • 金井大道具
  • 明治19年に市村座の劇場付き大道具会社として出発。現在は新橋演舞場や国立劇場などで歌舞伎や日本舞踊ほかの大道具を製作、スーパー歌舞伎の舞台美術も担当する。また、現代演劇やテレビの大道具、ファッションショーやイベントの装置製作も手がけている。
  • http://www.kanainet.co.jp